思い出のナナちゃん
小学生の頃、同じ学年にナナちゃんという女の子がいた。
正直、ナナちゃんという名前もうろおぼえだ。
同じクラスだったかさえ定かじゃない。
ナナちゃんとは放課後、他の友達も交えてよく遊んだ。
目がクリクリしてて、お人形さんのような風貌だった。
ただ、ナナちゃんには他の子とはちょっと違って、正直ちょっと足りない所があった。
友達からは「ナナちゃんは昔頭の手術をした」と聞いた。
「頭の手術」とは何なのか、昔も今も分からない。
ある日、ナナちゃんが転校することになった。
転校前に皆でお見送りとか、そういう記憶はない。
もしかしたら、転校した後でその事を知ったかもしれない。
通っていた小学校では、3年生以上になると
合唱コンクールを行う。
4年生になると、近隣の学校の生徒も交えて合同合唱コンクールになる。
その時、ナナちゃんが久々に学校に来てくれた。
ナナちゃんは、車椅子に座っていた。
車椅子の上でぐったりとしていて、意識があるのかも分からなかった。
お母さんがナナちゃんの手をとって振ってくれたけど、ナナちゃん自身は何の反応も示さなかった。
詳しい事情は分からない。
ただ、私の知ってるナナちゃんじゃない事だけは直感的に理解できて、寂しさを覚えた。
卒業前に転校したから、アルバムにも載ってない。
ナナちゃんは元気だろうか?